ななこらむ4
先日、とても素敵な人に出会った。
彼は現在四国の田舎でひとりで養鶏をしている。いわゆる「Iターン」(注1)のひとだ。
彼は以前街で普通に(でも情熱をもって)仕事をしていたそうだ。
彼は、ある時、(結局)ただくり返される毎日の自分の仕事に、なんともいえないむなしさを感じた。
そして様々な葛藤のなか、彼がいきついた考えは「食」だった。
人間の原点は「食」だと。
私は未だこれに同感できない。同感する流れも葛藤も、素材もなにもない。
でも、彼のなかのいきついた先、彼の真理なのだ。
それは理解できる。
彼は、鶏小屋よりもずっと粗末な、狭くて、くつろぐスペースもなにもない、お家に住んでいる。
「とても人としての生活をしているとはいえない」
同情か、なにか、いろいろな感情のこもった声が聞こえる。
でも彼はとても幸せそうだ。私には、彼はとても幸せそうにみえた。
彼の目には迷いがない。
安全で美味い「食」をつくることが彼の信念なのだ。
彼は、彼の周囲のIターンの人達のように、人として、人間らしい真の意味での豊かな生活を求めて生活しているのではない。(注2)
自分の信じる「食」のために生きているのだ。
彼にとっては、自分の身なりや生活より、にわとりが大事なのだ。
彼に、今の生活が変えられるくらいのお金が入ったとしても、迷わずとりのために使うだろう。私はそう、思う。
べつにそういう生活が素晴らしいと褒め称えているわけではない。
彼は、それでいいのだ。
私は、彼のように生きたいと現時点では思わないし、多分これから先も思うこともないと思うが、
自分の真理を見つけた彼を、少し羨ましく思う。
彼に愛しまれて育っていくにわとり達は、幸せだと思う。
私は、彼と、彼のにわとり達のことを思うと幸せな気分になる。
彼と、彼のにわとり達が健康で幸せに暮らしていけることを願っています。
2004.3 なな
(注1)
「Iターン」という呼ばれ方は私はあまり好きではありませんが、便宜上使わせてもらいます。
(注2)
この考えは私が勝手に想像して思っていることで、実際Iターンの方々にきいたのではありません。
Iターンの方々はそれぞれ、私達が想像もつかない思いや夢、野望を抱いて生活しているのかもしれません。(あるサイトでは自身の方が「広い自分の土地を持ちたかった」といっておられました。)
おもいはひとそれぞれということは重々承知していますが、一般的の見方のひとつとして私の思っている、感じたことを例としてあげているまでです。
また、個人のことということもありますし、能力不足で表現できていない部分も多々ありますので、ご意見・ご感想ありましたらメールや掲示板などでどんどんご意見ください。
私の想ったまま伝わることを願います。
なな
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